Clarice Fantasy

大人の女性向け恋愛小説置き場。たまにR-18
           

ラピスラズリ 255 田島編

当時のマリの心配にも、上司の期待にもちゃんと応えられるようになりたい。誠意をもって仕事に臨みだした頃、佑香の態度が変わってきた。「本当に仕事なの?浮気してない?」少しでも仕事が遅くなると、すぐに疑い、責め立てる。そのくせ、自分は遊びに出歩いたり実家に戻ったり、それを俺から注意でもすると逆上する。佑香は、マリが辞めた数ヶ月後に退職した。勤めていた期間は、1年足らずだ。仕事に対する熱意はほとんどないま...

ラピスラズリ 254 田島編

「なんで?……ねえ、隼人……」泣きじゃくるマリに、何の言い訳もできなかった。いつか、マリとの未来があると思っていたはずなのにそしてマリもそう思っていたはずなのに佑香の体を思えば、答えはひとつしかなかった。「ごめん。ごめん…でも佑香を放っておけない」それから、マリとは会っていない。マリが去って、淳が離れた。佑香が妊娠していたかは、今となってはわからない。それというのも、その後流産したと聞かされたからだ。...

ラピスラズリ 253 田島編

きっともう山下さんには関わらない方がいい。この浮ついた気持ちが、本気になってしまう前に。いつしか、気付けば彼女を目で追っている自分。「隼人、煙草クサイ。全然やめてないでしょ。嘘つき」仕事を終えて家に帰ると、佑香が、汚いものでも見るような目つきで俺をなじる。「…風呂入ってくる」「なによ、無視?」ケンカにはならない。一方的に佑香が怒って喚いて泣いて、俺は最後に謝るだけのことだ。佑香は、すぐに人を妬む。...

ラピスラズリ 252 田島編

和やかに会話をしているのをぼーっと見ていると山下さんが灰皿をくれた。「ありがと」と言うとにこりと微笑んでくれるが会話はない。何を話していいのかわからなくて目の前にあったメニューを渡す。「甘いものあるよ。頼む?」コクンと頷いてメニューを開く彼女を煙草をふかしながら眺めていた。その後。梶さんが酔い、岡田も酔い、めちゃくちゃな雰囲気となってきて、打ち切ることにした。甘いものを勧めておきながらそれを頼むこ...

ラピスラズリ 251 田島編

これが色気がない?どこがだよ。現に俺は今、この子を前にして鼓動が速まっている。「ちゃんと女らしいよ。つーか…可愛い子だなと思ってるよ」言わなくていいのに口が滑った。それをすぐに打ち消すように言葉を付け足す。「あー俺何言ってんだろ。忘れてね!嫁に叱られるわ」彼女の顔が見られない。「田島さん、ご結婚されてるんですか?」「そうだよ。あれ?言わなかったっけ」できるだけ普通を装って答え、反応を盗み見るが彼女...

ラピスラズリ 250 田島編

しかし、飲み会で梶さんに飲まされたり絡まれたりしているのを見ると、落ち着かない。それで内密につきあってる岡田を怒らせたりしてふたりの様子に苦笑した。山下さんと目が合う。飲まされて真っ赤になった頬でにこっと笑っていた。「すみません、お手洗いに…」か細い声でふらふら立ち上がる山下さん。危なっかしい。放っておこうかと思ったが、結局俺も席を外し、山下さんが出てくるのを廊下で待った。やばいな、俺…。待ち伏せっ...

ラピスラズリ 249 田島編

やっと駅についた。こんなドキドキしたのは久しぶりだ。ドキドキというより、ヒヤヒヤのほうが近いな。心臓に悪い…こんな、取り乱してしまうようなシチュエーションはなかなかない。山下さんは俺の後ろをついてきていて、突然「すいませんでした」と謝った。え?何が?それでも彼女は、叱られた子供のように俺の顔色をうかがっている。「何を謝ってるの?」謝るなら俺だろ。さっき、どれだけ際どい妄想したか。つい笑ってしまった...

ラピスラズリ 248 田島編

今思えば、あれが俺の分岐点だ。あの時、誘いに乗らなければ……。昔を回想しながらいつもと変わらない、満員電車に乗り込む。ぞっとするほど人が乗っている満員電車だが、偶然山下さんを見かけた。山下さんが立っている隣に流れ着く。「おはよう」彼女は、ぱっと俺の方を見て恥じらいがちに微笑んだ。確信はないけどリアクションに、つい俺に気があるのかなと思ってしまうんだけど…自意識過剰かな。「!」「きゃ」すると、後ろから...

ラピスラズリ 247 田島編

佑香と出会ったのは、その頃だ。新入社員の佑香は、総務部に配属されていた。ちょっとした社内のイベントで同じ係をしてから、「田島さん、田島さん」と懐かれるようになった。佑香は、マリとは違って俺を見下すことはない。連日、仕事がキツかったある日。マリはちょうど出張だった。「田島さん、飲みに行きませんか?」たまたま、帰りに佑香と一緒になった。「飲み?いいけど…」俺も少し疲れていて、断ってもよかったはずなのに...

ラピスラズリ 246 田島編

仕事が終わり、家に帰る。今日も佑香は家にいなかった。Yシャツやスーツはクリーニングに出しあとの物は洗濯機に放り込んで洗う。もともと、お嬢様育ちの佑香。新婚時代にはいろいろと張り切ってくれてはいたが最近は家事もしなくなって久しい。飯は食って帰ってきたから佑香がいないことで何も困ることはない。マリのことは大好きだった。俺にとっては初めてと言っていいほど、のめり込む恋愛をしていた。だが、同い年でありなが...
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