Clarice Fantasy

大人の女性向け恋愛小説置き場。たまにR-18
           

ラピスラズリ 240 田島編

書き始めた当初から行き当たりばったり作品のラピスラズリですが、執筆の気分転換に、田島さん編を始めてみます。時は、瑠璃が派遣されてきた頃に戻ります。--------佑香は、今日も帰ってこなかった。実家に戻っていると連絡が来たのが、夜中の12時前。仕事から帰ってきた俺は、シャツの胸ポケットから、タバコとライターを出してダイニングテーブルに置いた。妻である佑香からは、「禁煙しろ」って再三言われてるけど、のらりくら...

ラピスラズリ 239 伝えられず

田島さんの顔を見られず手元だけ見る。「話?」「はい、ここでは話せないので…」そう言うと、田島さんが拳を口元にやるのが見えた。「俺もあるよ。ここでは話せない話」「え…」な、なんだろう…なにか、田島さんの環境が変わった、とか?すごく気になるけど、私だって伝えなきゃ。すると、田島さんが私の後ろに視線を移した。「おはよーございまーす!おふたり、早いねー!一緒に来たの?」岡田さんが出社してきた。「あ、いえ、一...

ラピスラズリ 238 仕事始め

仕事始めの日。朝の電車はいつもより少し空いている気がする。早めに会社に向かい、正月ボケを取っ払わないと。そして、今週末は岡田さんと旅行だ。まさかの萩原さん宅へおじゃま。(自宅ではないけれど)田島さんとも、今日数日ぶりに顔を合わせる。年末以来だけど、実家に帰ったりして、すごく時間が経過したように感じる。仕事では避けてられないし、しっかり働かなきゃ。そして…心に決めたことを伝えなきゃ。デスクにつき、朝...

ラピスラズリ 237 親心

家に帰ったら、母がこたつでうたたねしていた。「お母さん、風邪ひくよ」「ん……」お母さんはこんなに、小さかったかな。いろいろ口うるさいけれど、私のことを心配しているのは伝わってる。母は、私に結婚してほしいのだろう。すぐには叶えてあげられそうにもない。母の思う幸せと私の思う幸せが交わらないところに存在しているのが申し訳なくも思う。……でも、今日は栞ちゃんに会えてよかった。匠君も。「お母さん。私帰るね」「え...

ラピスラズリ 236 LINE

家までの帰り道、三人で歩いた。栞ちゃんの歩幅に合わせてゆっくり。「るりちゃんの職場、お兄ちゃんの会社と近いよね?」私と匠君の間を歩く栞ちゃんが左右を見比べながら話す。「ああ。近いっちゃ近いかな」「そうなんだ?じゃあ会ってたかもしれないね」「んー。でも、人口はこの町の比じゃないしな」冷たい空気に白い息。栞ちゃん越しに匠君を見ながら歩いた。会社の近くは、人の多いオフィス街。匠君だけに限らず、誰か知り合...

ラピスラズリ 235 うつつ

「私にも怒りたかったと思うけど…相手に、すごく怒ったの。別居してるけど、奥さんがいる人だから。でも、私には産まない選択肢がなくて…自分で養っていけるかなって甘いかもしれないけど…。あ、ごめんね。暗い話して」「…ううん」栞ちゃんの笑顔がどこか寂しげに変わるけどすぐに前向きな言葉が出る。「働いた分の貯金はあるから、出産までは実家で過ごすつもり。生まれたら、また働くよー」「そっかぁ…」「るりちゃんはどんな感...

ラピスラズリ 234 元旦の屋台

「突然誘っちゃってごめんねぇ。るりちゃん、あまりにも変わってないしさ~」明るく笑う栞ちゃんはビールを我慢してお茶を飲んでいた。匠君がビールと食べ物を持ってきた。「やきそばと、焼き鳥と、イカ焼きな」雑なテーブルに乗せられいただきますと手を合わせる。「特別おいしそうでもないのにおいしく見えるよね~」と栞ちゃん。こんな明るい子だったかなぁ。「はい。…山下」「あっ、ありがとう」匠君から缶ビールをもらった。...

ラピスラズリ 233 懐かしい顔

「…えっ!栞ちゃん!?」なんて偶然。笑顔の栞ちゃんには、子供のころの面影が存分に残っている。「そうだよー!るりちゃん、こっち帰ってきてるの!?」昔スレンダーだった栞ちゃんは、妊婦さんということもあって優しい雰囲気だ。何より、とても幸せそうなオーラが…私もひとりでに笑顔になってしまう。「うん!毎年は帰らないんだけど、久しぶりに帰ってきて!……って、匠君だったの!?」栞ちゃんの隣にいたのは、匠君だった。い...

ラピスラズリ 232 初詣

あれじゃあ父も正月から外出るよね…。父は、気が弱いけれどお酒を飲むと気が大きくなる人。人当たりはよく町内会の人たちとは仲がいい。てゆうか、町内会の方々も正月早々から飲んでるんだし父ぐらいの年になればみんな一緒なのかな。かおりちゃんもさやちゃんも、結婚かぁ…。栞ちゃんも、赤ちゃんが…。「…あ。過ぎてた…」考え事をしながら歩いていたらいつのまにか、コンビニを通り過ぎていた。このまま歩けば小さな神社がある。...

ラピスラズリ 231 お気楽

「あのね。私、正社員になって働こうと思うんだ」なんとなく母に打ち明けたら母は苦虫を噛み潰したような顔をした。「お気楽な派遣のまま、いい男捕まえてやめりゃいいのに!昔っから苦労をしょい込むんだから」「派遣だからってお気楽じゃないよ、それはひとくくりにしすぎだよ。正社員だって、お気楽な人はたくさんいるし適当に仕事してるわけじゃないよ」「まあなんでもいいよ。じゃあ前の仕事辞めなきゃよかったのに。前の方が...
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